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  • オフショア開発の課題と失敗から考える注意点とは?事例を交えて徹底解説

    オフショア開発の課題と失敗から考える注意点とは?事例を交えて徹底解説

    近年、IT業界において不足しがちなリソースを補うためにオフショア開発の活用が急増しています。

    そこで今回は、オフショア開発とは何か、メリット・デメリットは何か、課題と失敗からどう活用していくのかなど、実例をもとにご紹介します。

    オフショア開発とは

    ITに関わる仕事をされている方の中には、「オフショア開発(Offshore Development)」という言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。

    オフショア開発とは、主にIT業界でシステム開発やアプリケーション開発の一部の業務を海外に委託・発注する事を言います。弊社では実際に、Webサイトの実装や、ページの検証などを依頼しています。

    オフショアを活用するメリットとしては、現在の日本のITエンジニア不足の課題をカバーすることができる点が挙げられます。また、ITエンジニアの技術力は、英語圏に属しているオフショアメンバーの方が高いことも多く、チームとして上手く稼働すれば大きな力になってくれるはずです。
    ただ、そのためにはオフショアメンバーの高い技術力を最大限発揮できる環境を作っていくことが重要です。

    ではなぜ、現状日本はITエンジニア不足と言わているのでしょうか。
    理由としては、急激なIT業界の市場規模の拡大により日本の人材の供給が間に合っていないことや、少子高齢化による日本労働人口の減少などが考えられます。

    経済産業省が2019年4月に報告している「IT人材需給に関する調査」によると、IT人材の不足数は2020年で30万人となっています。さらに2030年には約45万人のIT人材が不足するとされています。この数値は中位シナリオのものであり、高位シナリオになると2030年には最大で約79万人ものIT人材が不足すると予測されています。

    IT人材の「不足数」(需要)に関する試算結果
    ※試算においては、将来のIT関連市場の成長の見通しによって低位・中位・高位の3種のシナリオを設定。低位シナリオでは市場の伸び率を1%程度(民間の市場予測等に基づく将来見込み)、高位シナリオでは市場の伸び率を3〜99%程度(企業向けアンケート結果に基づく将来見込み)、中位シナリオはその中間(2〜5%程度)と仮定した。さらに、低位・中位高・位の各シナリオにつき、今後、労働生産性が上昇しない場合(+ 0.0%)と、労働生産性が毎年+ 0.7%、または、+ 2.4%上昇する場合の3種類の条件のもとで試算を実施した。

    参考:https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/gaiyou.pdf

    また情報処理推進機構(IPA)によると、現状日本企業の約45.6%と約半数の日本企業がオフショア開発を活用しています。

    主な国・業務内容

    オフショアの委託先は、労働力が豊かでIT人材の育成に力を入れており、優秀なシステムエンジニア(SE)が多い国が対象となっています。

    主な業務は、システムやソフトウェアの開発から、システムの保守・運用と様々で、国によって、またメンバーによって得意とする分野が異なります。

    〇インド

    世界中で注目されているインドは、IT企業への就職を目的とした学校があったり、子供のころから数学教育に力を入れていることから、優れた技術者が多いです。
    英語を第二公用語としていることもあり、英語でのコミュニケーションはもちろん、プログラミング言語の習得も早いです。
    アメリカの有名企業で活躍するメンバーの中にもインド出身の人材は多くいます。

    〇中国

    中国もIT教育に力を入れているため優秀なITエンジニアが多く、オフショア開発の発注先としては比率が高い国です。日本語能力が高いエンジニアも多くいるので、コミュニケーション面でも大きなメリットと言えるでしょう。
    オフショア開発の歴史も長く、実績が豊富で様々な案件に対応可能とされています。

    〇ベトナム

    ベトナムもIT人材の教育に力を入れており、親日国で人件費が安いことからオフショア開発として人気の国の一つです。日本語が話せるエンジニアもいるためコミュニケーション面も容易さがありますし、勤勉な国民性から品質の向上にも長けています。
    当社でも過去の案件で日本語が話せるベトナム人メンバーと仕事を共にしており、コミュニケーション面ではかなり助けていただきました。

    〇フィリピン

    高い英語力と技術力を持っており、単価も安いため近年発注が伸びています。
    当社でも実際に多くのフィリピンメンバーをアサインしており、日々コーディング業務にに励んでいます。親日国ということもあり、とても真摯に依頼を受け入れてくれますし、中には日本へ出向という形で、現地ではなく実際に日本へ来て働いている方もいます。高い技術力と品質管理のノウハウを有した方が多いので、委託先としては期待できるでしょう。

    下記では、実際に日本で働いているフィリピン出身メンバーと、オフショアではないですが中国出身のメンバーがインタビューを受けていますので、ぜひご覧ください。

    外国人エンジニアにインタビュー~彼らはなぜハングリーなのか?~

    オフショア開発のメリット

    ①コスト削減

    コスト削減ができるのはオフショア開発の最大のメリットではないでしょうか。
    またオフショアのメンバーと日本との間を取り持つ「ブリッジ」の人の存在が必要不可欠となるため、このコミュニケーションコストを考えるとオフショアを活用する場面は小規模プロジェクトより大規模プロジェクトの方が大いに向いているといえるでしょう。

    以前は中国が委託先の中心とされていましたが、経済成長や人件費の高騰に伴い、インドやベトナム、フィリピンなどのオフショアが主になりつつあります。

    ②さまざまな注文に対して柔軟な対応が可能

    優れた人材の確保がしやすいため、大規模な開発や短納期の注文への対応も可能です。
    インドやベトナムなど、オフショア開発拠点が多くある国では国策としてIT人材の育成に力を入れており、他の職種よりも収入が高いことから、優秀な人材が多く集まりやすいです。

    ③中長期向けのラボ型開発

    オフショア開発は、プロジェクトごとに案件を委託する「受託案件」が一般的ですが、ある一定の期間で開発チームを確保できる「ラボ型開発」があります。およそ半年から1年の契約が一般的で、ラボ型開発を取り入れることで長期のプロジェクトでも人件費を抑えることができます。
    また急な仕様の変更や追加の要件にも対応が可能です。オフショア開発の一連の流れが掴みやすくなるため、マネジメントスキルや作業スピードの向上、スムーズなコミュニケーションにも繋がります。

    オフショア開発のデメリット

    ①コミュニケーションの取りづらさ

    基本的に英語でのやり取りになりますが、母国語ではない以上、違ったニュアンスで意味が伝わってしまったり、説明が長くなって大事なポイントが伝わらないといったコミュニケーションの取りづらさが課題になります。日本語が話せる人材は決して多くはなく、日本側も英語が堪能な人が多いわけではありません。この双方を取り持つ「ブリッジディレクター」の存在はかなり大きいでしょう。

    ②文化や国民性、価値観、仕事に対する考え方の違い

    日本人同士ではまかり通る考え方が、他の国でも通用するとは限りません。
    私も以前オフショアのメンバーとのやりとりが上手くいかず、納期には間に合ったものの人員を増やしてギリギリでプロジェクトを終わらせたことがあります。オフショアメンバーも遅れたいわけではなく、むしろ積極的であったにも関わらずです。

    詳しくは「5.オフショアの成功実例と失敗実例」でお話ししますが、例えば納期について、「この日の何時にクライアントに納品したい」とだけ伝えても、それまでの作業工程を逆算して、何日の何時までに作業を済ませなければいけないのか、ということを瞬時に把握することは難しいです。こちらから明確に、どれだけの作業範囲をいつまでに完了させるか、細かく依頼する必要があるでしょう。

    他にもビジネスマナーの違いや、文化や価値観、仕事に対する姿勢の違いが課題となり、業務に支障が起きたり、成果物の質が低かったということもあります。国による相違を理解する事は失敗を防ぐ鍵とも言えるでしょう。

    オフショア開発をより良いものにするために

    オフショア開発をより良いものにするために

    ここではオフショア開発をしていくうえで、理想のワークスタイルを築くためのポイントを紹介します。

    人材の管理

    3.オフショア開発のデメリット」でも少し説明しましたが、オフショア開発では現地のメンバーと国内メンバーとのコミュニケーション面のサポートを主とした、橋渡し的役割の「ブリッジディレクター」の存在は大きいです。

    日本側からの作業依頼の連絡、作業進捗や稼働状況の把握、日程の調整や交渉など、必要な情報を伝達します。またお互いの認識の齟齬を未然に防ぐために、依頼内容をそのまま伝えるのではなく、言葉のニュアンスを伝わりやすいように変換することも重要です。現地のブリッジディレクターも国内のブリッジディレクターも、プロジェクトの内容をしっかり把握していることが求められます。

    こういったことは、オフショアメンバーの作業パフォーマンスや納品物の質の向上、余分なコストの発生を防ぐ等にも繋がります。

    では、実際にどれくらいのレベルの英語が求められるのでしょうか。目安としては、TOEIC®スコア500点程度とされており、海外で何とか生活できるくらいのレベルの英語力です。しかし、エンジニアとのやり取りをする上で専門用語も出てくるので、できるだけ高いスコアを獲得するに越したことはありません。実際に現地メンバーと英語で電話のやり取りがある場合、リスニング力も試されます。

    ただ、最初から完璧な英語力がなくても、業務を通して自然と身につく単語が増えたり聞き取る力が養われるので、英語力向上に繋がるでしょう。

    働きやすい環境作り

    言葉の壁により満足のいくコミュニケーションを取ることは難しいですが、それだけでなく物理的な距離により、数時間の時差が生じることや、国ならではの行事・祝日等により稼働が左右されることもしばしばあります。
    もちろんそれらの動向を把握したうえで作業を割り振ることが大切ですし、連絡事項には細部にも配慮したほうがいいでしょう。

    例えば、作業を時間指定で依頼する際、単に「10時」と伝えても日本時間なのか現地時間なのか分からないため、日本時間での指定の場合は「JST」(Japan Standard Timeの略。日本標準時)と付け足すことでオフショアメンバーは迷うことなく作業を進められます。
    また事前に次月の祝日を確認して双方で共有して稼働状況や日本が休みの際の作業内容を調整する事もスムーズに行うことが望ましいです。

    こういったところで「距離的問題や、国の事情にも配慮した連絡ができるよう心掛けていますよ」ということが伝わるだけでも、働きやすい環境を築く一歩に繋がります。

    また基本的に、依頼するのが日本側、依頼を受けるのがオフショア側という構図のため、オフショアメンバーが受け身となってしまい、自ら自由に意見を発しづらい環境になってしまうことも多いです。
    そのため、質問や気になる点があればすぐ連絡してもらえるように、「Feel free to ask me (us) if you have any questions or concerns.(質問や心配事があれば気軽に相談してください。)」というような、意識的に彼らから意見を出すための一言があるといいでしょう。

    オフショアの成功実例と失敗実例

    オフショアの成功実例と失敗実例

    ここでは当社での実例とともに、成功例で取り組んでいたことや失敗例から考える課題と対策についてご紹介します。

    成功実例

    50ページほどのコーポレートサイトのリニューアルで、開発をフィリピンに、検証をインドネシアに依頼した時の話です。

    いくつかのテンプレートページを用意し、フィリピンのメンバーに量産ページを作成してもらったのですが、期限が短かったにもかかわらず、ページの修正が想定より少なく、検証もページ修正も期限内に終えられたのです。

    もちろんインドネシアのメンバーは丁寧に検証作業をしてくれていて、国内メンバーでも気づかなかった点を指摘していたりと細かく見てくれました。
    この件でよかった点は下記が考えられます。

    • 指示をテキストで送った後、懸念点を電話で適宜すり合わせ
      テキストでは理解しきれないのではないかと思う点について、内容を補うために数分のミーティングを設けて認識齟齬の防止に努めました。

    • 修正内容をテキストだけでなくキャプチャ・画面録画で具体的に指示
      検証で出た修正点をまとめる資料に、テキストだけでは伝わらないと思う箇所のキャプチャや、挙動の説明をするための画面録画のデータを添付することで、実際にどの箇所でどんなバグが発生しているのかをわかりやすくしました。

    • 個人的な質問・要望など、公で聞きにくいことはグループチャットではなく個人でやり取り
      メンバーによっては、他の人がいるグループチャットで指示されたり指摘されることを苦手とする方がいます。そういう時は個人的にコミュニケーションをとり不安を解消したり、作業について話します。
      こういったメンバーの特徴を把握することも大切です。

    • ねぎらいの言葉や、スモールトークでモチベーションを保つ
      いつも助けられているというお礼を伝えることで、「自分がやっていることに感謝されている」と実感してもらうのも大切です。また特に個人でのやりとりの際は、いきなり本題に入るのではなく最近の調子を伺ったり週末どうだったかなどのスモールトークを挟むことで、少しでもコミュニケーションを取った方がいいでしょう。

    失敗実例

    続いて失敗事例ですが、これは4,000ページ規模のサイトリニューアルを4ヶ月で対応する案件を受注した時の話です。オフショアにも協力してもらうべく、開発をフィリピンに、検証をインドネシアに依頼しました。

    しかし、最初の2週間、全くもって作業の進捗はよくありませんでした。1人あたりのノルマを設け、そのページ数を処理するように依頼していたものの、1日の目標数を終えないまま帰るメンバーが続出…。なぜこのような事が起こったのでしょう?

    そこには、コミュニケーションの壁が大きな課題として関係していました。

    日本側にも英語が堪能な外国籍ディレクターを配置し、連絡事項やノルマの共有を都度行っていましたが、オフショアメンバーは母国語が英語ではなかったりなど、テキストだけでのコミュニケーションでは本質まで伝える事ができていませんでした。
    その結果、「絶対にノルマを達成しなくてはいけないのか?」「何か理由があれば達成できなくても仕方ないだろう」という認識の差が生まれ、開発をお願いしたオフショアメンバーは日本人メンバーの1/3のアウトプット量になっていました。オフショアメンバーの方がスキルが高かったのにも関わらずです。

    このままではプロジェクトの遂行はもちろん、日本メンバーのメンタルを保つのも難しくなっていきます。
    そこで、課題解決のため下記の対策を打ちました。

    • オフショアのセンター責任者を含めたミーティングの実施
      案件全体のスケジュール、現在の状況や課題、ノルマの再共有を行い、責任者にも状況を理解してもらうことでセンター全体での協力を仰ぎました。
      また、オフショアメンバーに状況や困っていることをヒアリングしたところ、日本メンバーと同じ悩みを抱えているにも関わらず、コミュニケーションの問題で日本メンバーと同じようにその悩みをリードエンジニアに伝えられていないことがわかりました。
      日本メンバーはこのように解決していると情報共有することで、コミュニケーションが円滑にいくようにしました。

    • 週2回エンジニアスクラムミーティングの実施
      テキストだけでは理解が追い付かないメンバーもいたため、15分でもミーティングを実施し、共有事項や質問を双方で摺合せ、体制の強化を図りました。

    • 毎日の実績の詳細報告
      何が原因で達成できなかったのかを細かく報告するようにしてもらい、何がボトルネックになっているのか現状を日本側でも把握できるようにしました。
      達成できた日にはきちんと感謝を伝え、日々の活躍を評価することだけでも、それぞれのモチベーションが上がり、積極的に仕事に取り組んでくれるようになります。

    その結果、個人の意識が変わってノルマを達成する日が増え、達成できなかった日は他のオフショアメンバーが助けあい、お互いをフォローするようになり、納期に間に合わせることができました。それだけではなく、ミーティングを細かく行ったことで認識齟齬による障害も減ったのです。

    その案件を一緒にやってからというもの、他の案件でも日本側と同じ意識をもって、時には残業をしてでもプロジェクトに貢献するという姿勢が見られ、とても助けてもらっています。

    オフショア開発の今後の動向について

    オフショア開発はメリットがある一方でデメリットもありますが、各々の課題をいかにカバーできるかを考えていくことで、プロジェクトの質はかなり良くなるでしょう。

    オフショア開発は、今後もIT技術の発展に伴いますます需要が増えることが見込まれます。ITエンジニアはグローバルに活躍する時代になっており、さらにIT人材の教育は強化されるでしょう。

    この記事では、弊社の実例をもとにオフショア開発の課題や注意点、対策ポイントなどを紹介してきました。国内外問わず、一つのプロジェクトを共にやり遂げるチームとして上手く付き合っていくためのヒントが得られれば幸いです。

    下記の記事にて、実際に当社で働く外国籍エンジニアのインタビューを紹介していますので、ぜひこちらもご覧ください。

    外国人エンジニアにインタビュー~彼らはなぜハングリーなのか?~