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    サイトアクセス数が急増したら要注意?!スパムの対処法を解説

    「今週サイトのアクセス数が急激に増えた!」最初のうちは、そこで一喜一憂してしまいますが、サイトを成長させていく上でもっとも重要なのは、なぜ、アクセス数が増えたかであり、それを考えることがアナリストの役割です。今回は、増えても全く意味がないスパムについてお話させていただきます。

    スパムとは、Web上の迷惑行為全般を表す語です。もともとは、大量かつ無差別にユーザーに迷惑メールを送信して有料サイトに誘導したり、成り済まして個人情報を抜き取ろうとしたりする行為を指していました。現在では、SNSアカウントの乗っ取りや、Webサイトへの大量アクセスなど、Webに関わる迷惑行為全般をスパムと呼ぶようになっています。

    Webスパムも近年では珍しいことではありません。 なぜならば、お客様のGoogleアナリティクス上でスパムと疑わしきアクセスを発見したことが何度もありますし、弊社のオウンドメディア「Digitoo」でもスパムによる大量アクセスが発生したことがあるからです。その都度、どんなスパムなのか調査していますが、結局のところ何の目的でサイトに大量アクセスしているかは分からない場合がほとんどです。

    今回はそういった目的の分からない(まだ名前のない)、スパムアクセスについて詳しく解説します。
    ※代表的なWebスパムであるリファラースパムやゴーストスパムについては別途解説させていただきます。

    弊社が見つけたことのあるスパムアクセスのご紹介

    目的の分からないスパムは世の中に数多く存在します。まずは弊社が過去に見てきたスパムアクセスの事象を2つご紹介いたします。

    特定サービスプロバイダからの集中アクセス

    お客様のGoogleアナリティクスで、セッション数の推移グラフを週1回定期チェックしていたところ、ある5日間の値だけセッション数が通常の7~8倍増加していました。

    セッション数が急増したグラフ
    図1:セッション数が増加した際のGoogleアナリティクスのグラフ

    該当日について調査したところ、特定のサービスプロバイダ【A】からの大量アクセスであることが確認できました。そこでサービスプロバイダ【A】からのセッションを調べた結果、参照元がすべて「direct」になっていました。「direct」とは、URLを直接打ち込んでサイトに訪問した場合やブックマークからの訪問などが該当します。directで大量アクセスがあることは通常では考えにくいため、明らかに怪しいアクセスだと分かります。おそらくbotやコンピューターによる仕業でしょう。

    サービスプロバイダ【A】による大量アクセスについてWebで調査したところ、同様の事象が他サイトで起こっていることが分かりました。こういったことから、今回の大量アクセスは、弊社ではスパムアクセスだと判断しました。

    ※Googleアナリティクスの「サービスプロバイダ」機能は、現在はサポートがされなくなり、閲覧不可となっています

    特定の地域からの集中アクセス

    「Digitoo」のGAを定期チェックしていたところ、ページビュー数が通常の20倍以上増加している日がありました。特にキャンペーンなどの施策を行っていなかったため、急増したアクセス数を不審に思い、深堀調査をしました。すると、今まで海外からのアクセスがなかったにも関わらず、同日同時刻に100カ国以上からアクセスされていたことが分かりました。

    下記はページビュー数が20倍以上増加した日と、その日から1週間後の、国別シェア率の比較です。比較するとその差は歴然でした。また、海外からのアクセスは平均セッション時間が0秒に近く、こちらも不審な点のひとつです。

    国別シェア率の比較
    図2:国別シェア率の比較

    国内向けのサイトかつ、キャンペーンや広告など能動的に何も仕掛けていない状況で、同時刻に数十カ国からアクセスがあることは考えにくいです。そのため弊社では上記の大量アクセスはスパムアクセスだと判断しました。

    スパムアクセスかどうかの判断ポイント

    サイトアクセス数が急増する理由は、スパムアクセス以外に、Google検索ランキングの急上昇、サイトリニューアルやシーズナリティ、そしてWeb施策・キャンペーンによる影響などがあります。これらに当てはまらない場合はスパムアクセスの可能性が非常に高いです。本章では、スパムによく見られる特徴とその確認手順をご紹介いたします。

    スパムによく見られる特徴

    • 特定日時限定の大量アクセス
    • 国内ではなく、海外からのアクセス(国内向けのサイトである場合に限る)
    • セッション時間が0秒に近い
    • 参照元がdirect/none
    • 言語が(not set)
    • 見覚えのないホストからのアクセス

    スパムかどうかを判断したいときのGA確認手順

    スパムかどうかを判断したいときには、Googleアナリティクスで下記手順にそって確認することをオススメいたします。

    ①アクセス数が急増している期間に合わせて計測期間を変更

    ②ユーザー>概要>サマリーで「時間別」を選択
    ⇒同時刻にアクセスが集中していないかを確認できます。短時間に集中していたら要注意です。

    ③ユーザー>概要>ユーザー層「国」を選択
    ⇒どの国からのアクセスが多いのかを確認できます。海外からのアクセスが多かったら要注意です。

    ④集客>すべてのトラフィック>参照元/メディアを選択
    ⇒サイト訪問者の流入経路を確認できます。direct/noneが多く、平均セッション時間が0に近かったら要注意です。

    また、メディアがreferralで参照元が見覚えのないWebサイトのドメインである場合、リファラスパムの可能性があります。参照元のページにウイルスなどが仕込まれている可能性があるため、参照元のページにダイレクトで訪れないよう気を付けてください。

    ⑤行動>サイトコンテンツ>すべてのページを選択し、どのページのアクセス数が急増しているのか確認

    ⑥アクセス数が急増しているページをページ列から選択するか青枠⑥の「アドバンス」で絞り、深堀調査をする
    すべてのページ表示画面

    図3:すべてのページ表示画面

    ⑦ 青枠⑦のセカンダリディメンションで「言語」を選択
    ⇒サイト訪問者が使用する言語設定を各ページごとに確認できます。(not set)だったら要注意です。

    ⑧ 同様に、セカンダリディメンションで「ホスト名」を選択
    ⇒サイト訪問者がどのホストにアクセスしたかを各ページごとに確認できます。自社ホスト以外からのアクセスがあったら要注意です。

    スパムアクセスがサイトに及ぼす影響とその対策

    目的の分からないスパムといえども、サイトに良くない影響を及ぼすため、放置するべきではないことは確かです。スパムだと判断したら、プロジェクトメンバーに周知し、対策をしていきましょう。本章ではスパムアクセスによる主な影響2つとそれに対する対策をご説明します。

    大量アクセスによるサーバー負荷

    万単位の大量アクセスが集中して来た場合は、サーバーに過負荷がかかります。これにより、ページの読み込み時間が遅くなったり、最悪の場合サーバーがダウンしてしまったりすることも考えられます。
    しっかりとしたサーバー管理者であれば事前にCDNなどさまざまな対応をしていることで大量アクセスも捌けるようにしているでしょう。それでもサーバー側で以下の対策をすることで、スパムの元を絶つことが可能な場合もあります。サーバーのスペックにもよりますが、長期間大量アクセスが来る場合はサーバー負荷対策を検討するべきです。

    <サーバー負荷対策>
    .htaccessファイル(Webサーバー設定ファイル)などでスパムのIPアドレスのうち一致している頭文字を正規表現で検索して除外設定することで、スパムからのアクセスを拒否することができます。

    IPアドレスの取得について、現在GoogleアナリティクスはデフォルトでIPアドレスを見ることができない仕様になっていますが、カスタマイズすることによってIPアドレスを取得することが可能です。
    ※取得したIPアドレスの取り扱いは自己責任でお願いいたします。
    スパムのIPアドレスで除外設定できそうな特徴が無い場合はサーバーでログを見るなど、別途除外する方法を考える必要があります。

    ※注意点
    .htaccessファイルなどはサーバーを制御するのに使用しているため非常に重要です。文字の位置を間違えたり、アスタリスクを1つ間違えたりしても、サイトがダウンしてしまう可能性があるので編集する前にファイルのバックアップを作成し、開発環境でテストするなど、慎重に対応をする必要があります。 また、できる限りサーバ管理者に依頼する方が望ましいでしょう。

    Googleアナリティクスで正確なデータが得られない

    スパムアクセスがあった後、何も対策をしないとGoogleアナリティクスにはスパムのアクセスデータが含まれている状態になります。サイト運営者が獲得したいユーザー以外からのアクセスも含まれてしまい、適正なサイト解析や改善施策を考えることができません。そのためスパムデータは除外する必要があります。

    <スパムデータ除外方法>
    スパムデータの除外方法は「セグメントで除外設定」と、「フィルタで除外設定」の2つがあります。どちらも不要なデータを除外して正しい計測データを取得できるようにするという点では同じです。しかし、それぞれメリット・デメリットがあるため、どちらの対策を行うかは下記の表を見て運用方法や優先度で判断してください。

    ■セグメントの場合

    セグメントのスパムデータ除外イメージ
    図4:セグメントのスパムデータ除外イメージ

    ■フィルタの場合

    フィルタのスパムデータ除外イメージ
    図5:フィルタのスパムデータ除外イメージ
    セグメントとフィルタを比較

    セグメント機能による除外設定をする
    セグメント機能とは、特定のデータに絞り込みたいときに使う機能です。
    セグメントを作成した日に関わらず、過去のデータを絞り込むことも可能です。
    スパムデータが除外できるセグメントを新規作成し、そのセグメントを適用すれば、スパムデータを除いたデータを確認できるようになります。

    ※セグメントのデフォルトは「セグメント:すべてのユーザー」になるため、スパム抜きのデータを確認したいときは毎回、作成したスパム用のセグメントを適用する必要があります。

    <セグメント作成方法>
    以下の手順でセグメントを設定してください。
    ①ユーザー>概要にある「+セグメントを追加」をクリック
    ②「+新しいセグメント」をクリック
    ③詳細>条件をクリック
    ④次に特定のサービスプロバイダやホストを設定するなどスパムの特徴に合わせて条件を設定
    ⑤セグメント名を入力して保存をクリック
    ⑥スパムを除外したデータを確認したいときは、追加したセグメントを選択し、適用をクリック

    セグメント設定手順
    図6:セグメント設定手順

    フィルタを設定する
    フィルタ機能はビューごとに設定できる機能で、データを除外したり、制限をかけたりすることができます。フィルタでスパムの除外設定をしておくと、Googleアナリティクスはスパムデータをそもそも計測しないようになります。

    ※注意点
    ・フィルタを設定すると、そもそもスパムデータが計測されなくなるため、再度同様のスパムアクセスがあったときにアクセスがあったことさえ確認できないようになります。大量アクセスが確認できないとなると、サーバーに負荷がかかっていることに気が付かないリスクが出てきます。

    ・仮に「やっぱりスパム込みのデータも念のため計測しよう」となったとして、後日スパムのフィルタ設定を解除したとします。解除した翌日からはスパム込みのデータが計測できますが、フィルタを適用していた期間のスパムアクセスデータは取り戻すことがきません。フィルタ機能は後戻りできない機能になります。

    フィルタ機能は上記で述べたようなデメリットがあるため、弊社ではフィルタ機能によるスパムデータの除外設定を推奨しておりません。しかし、やりたいことや優先度の考え方によってはフィルタ機能が有効な場合もありますため、貴社内でご検討いただければ幸いです。

    <フィルタ設定方法>
    ①管理>すべてのフィルタ>フィルタを追加をクリック
    ②セグメントの設定と同様に、除外したい内容に合わせて設定(フィルタは設定した約24時間後に設定が適用されます)

    スパムアクセスが来ないように事前にできること

    Googleアナリティクスには、ボットのフィルタリング機能があります。
    ボットのフィルタリング機能をONにすることで、Googleが認知している悪意あるボットやスパイダーからのアクセスを全て除外することが可能です。
    Googleが認知していないスパムは制御することはできませんが、メジャーなスパムを事前にロックすることができるため実施していない方は今すぐにでも設定することをオススメします。

    <ボットのフィルタリング機能の設定方法>
    ①「管理」をクリック
    ②ビューの中にある「ビューの設定」をクリック
    ③「ボットのフィルタリング」にチェックを入れて、完了をクリック

    まとめ

    スパムにより早い段階で気がつくためには、こまめにGoogleアナリティクスをチェックする必要があります。アクセスが急増していたことが確認できたとしたら、喜ぶのではなく、「本当に?なぜ急に?なぜこのタイミングで急増したの?」と疑問を持つことが大切です。データを取得しチェックすることは誰でもできます。そのあとの分析や考える力がマーケターやアナリストに求められていることです。

    急なサイトデータの動きがあったらまずは詳細を調べてその原因を探りましょう。悪質なスパムが原因だと判断したら、プロジェクトメンバーに周知し、その都度適切な対処をすることでサイトへ及ぼす影響を最低限に抑えられるようにしていきましょう。