Webディレクターという仕事にはどんな能力が必要なイメージがありますか?Webに関する知識の広さ?管理能力の高さ?それらも、もちろん大切です。しかし今、Webディレクターにとって最も必要なスキルはロジカルシンキングと言えるのではないでしょうか。その理由とロジカルシンキングの基本について解説します。
問題解決のスキルであるロジカルシンキングはWebディレクターに必須
Webディレクターの仕事=Webサイト制作というのは今や過去の話。現在、Webディレクターに求められているのは、問題解決です。
現在、多かれ少なかれどんな組織も「サイトのアクセス数が少ない」「ECの売り上げが伸び悩んでいる」「サービス認知が上がらない」といった、デジタルマーケティングに関する問題を抱えています。そういった顧客のWebに関する様々な問題を解決するために、あらゆる課題に取り組むことがWebディレクターの仕事でありミッションです。
Webサイト制作に関する知識を持っているだけでなく、それらの知識を活かしてどのように問題を解決していくか道筋を立てて考えるスキルが必須であり、それこそがロジカルシンキングになります。
問題と課題の違いを説明できるか?
ロジカルシンキングについて詳しく触れる前に、そもそも「問題」とは一体何か、理解しているでしょうか。

問題とは理想と現実のギャップ、 つまり「解決すべきこと」 です。例のようにコンバージョン(商品購入や会員登録など)の数が少ないという問題は、本来もっと多くのコンバージョンを獲得したいという理想があるということです。しかし、現状は理想に到達していません。
この理想と現実のギャップを埋めるために「クリアすべきこと」が課題です。ひとつの問題に対して課題はひとつではありません。例のようにコンバージョン数を増やすという問題に対して、PVが少ない、導線が最適でない、離脱率が高い、滞在時間が短いといった複数の課題があります。
このように問題と課題は全く別物なのですが、私たちはついこの2つを区別せずに混同してしまいがちです。するとどうなるか。一生懸命、取り組んでいるのに全然問題が解決しないということが起こります。特にWebディレクターは目の前のことに集中するあまり問題と関係性が低い課題も目に入ってしまい、本来解決すべき問題と関係性が高い課題を横に置いてしまう傾向があります。また特定の課題に固執してしまうケース、いわゆる「手段の目的化」と呼ばれる現象も往々にして起こりがちです。
問題解決の基本はまず解決すべき問題を明確に捉えること。そしてその問題を解決するための課題を十分に洗い出して、優先順位づけて取り組むことです。そしてこれはロジカルシンキングによって整理することが可能です。
ロジカルシンキングとは?

ロジカルシンキングは、元々コンサルティングファームの出身者によって開発された技法です。フレームワークに代表されるさまざまな枠組みや手法を使って情報を整理し、矛盾のない筋が通った結論を導く思考法になります。
筋の通った結論とは、もう少し具体的に言うと主張と根拠が一貫しており、現実に即していて飛躍していない結論ということです。ロジカルシンキングは、顧客の経営に関する問題を解決に導くコンサルタント、つまり「問題解決のプロ」によって考えられ活用されてきた手法です。そして、問題解決をミッションとするWebディレクターの仕事と非常に親和性が高いノウハウとなっています。
ロジカルシンキングを身に着けるメリット
Webディレクターがロジカルシンキングを身に着けることで下記のようなメリットがあります。
問題解決力が上がる
前述の通りロジカルシンキングが得意とするのは問題解決の局面です。的確に問題を設定し、課題を特定、仮説を立て、解決策を導くというプロセスに応用できる手法がいくつもあります。

ロジカルシンキングによって問題を明確に捉え、課題を適切に洗い出せれば、どんなに難解な問題であっても冷静に対処することができるようになります。一方でロジカルシンキングは、他の思考法に比べて合理的な結論を導くことに強みを持っているため、型破りな発想やユニークな意見が求められるケースにはあまり向いていないかもしれません。
コミュニケーションが円滑になる
ロジカルシンキングを応用した資料作成やプレゼンテーションをおこなうと、合意形成や承認を得やすくなります。なぜなら、首尾一貫した考えというのは突っ込みどころが少なく、相手の共感を呼びやすいためです。ロジカルシンキングを身に着けると「いいね!」と言われるアイデアを生み出すことや、「分かりやすい」「納得できる」と言われる説明が可能になります。自分でも納得して話せるので、相手にも伝わりやすくなるのです。
誰にでもできる
ロジカルシンキングという言葉の響きから、高度なスキルや特別な能力を要するイメージを持つ人もいるかもしれませんが、むしろ、その逆。枠組みに沿って、考えや情報を整理していくというシンプルな手法で誰でも取り組むことができます。経験が浅い人、苦手意識のある人ほど有効に活用できるメソッドといえるでしょう。ロジカルに考えることが身についている人も「いいアイデアが浮かばない…」と行き詰った時に活用ができます。
最低知っておきたい基本の手法とフレームワーク
数あるロジカルシンキングの手法の中でも、問題解決に応用しやすい代表的な手法・フレームワークをいくつかご紹介します。
So what?

ロジカルシンキングは自問自答を繰り返す手法であり「So What?」というのはまさに自問のフレーズです。「だから何?」「要するにどういうこと?」と問いかけることで、自分の考えていること、つまり結論を明らかにする手法です。相手の主張を掘り下げる場合にも役立ちます(伝え方には注意は必要です)。
対となるフレーズとして「So Why?」もあり、こちらは「それは何故?」という意味で、結論に対して問いかけることで根拠を明らかにしていく手法となります。
ロジックツリー

ロジックツリーは、ロジカルシンキングを知らない人でも一度は見たことがあるのではないでしょうか。上の図は、問題の原因を突き止めるためのロジックツリーです。ロジックツリーはその名の通り、樹木が枝分かれするように要素を分解していく手法です。分解することで全体像が見えるため、問題の原因究明、問題解決策の洗い出しに活用されます。
ピラミッド・ストラクチャー

ロジックツリーと並んで有名なフレームワークがピラミッド・ストラクチャーです。ロジックツリーと似ていますが、問題解決において活用されるロジックツリーに対して、ピラミッド・ストラクチャーはプレゼンテーションにおいて主張に論理性を持たせることを目的としています。図のように結論と根拠の間で「So What?」「So Why?」を繰り返し、根拠を洗い出して、主張を固めることで説得力を高めます。
帰納法、演繹法

帰納法も演繹法も結論を導くための論法ですが、プレゼンテーションや説明の仕方を検討する時にも活用ができます。帰納法とは、多くの事例から見出した共通点を根拠に主張をする論法。対して演繹法は普遍的な事実や共通認識に基づいて主張をする論法です。
帰納法はデータや事例を提示することで納得感を与えることができますが、それらの前提を理解している相手にとっては主張を中心に展開する演繹法のほうが、効率がいいとも考えられます。それぞれの論法のメリットを理解して使い分け・組み合わせるといいでしょう。
ロジカルに考える力を鍛えるには?
紹介したロジカルシンキングの手法や、フレームワークを使うこと自体もトレーニングになりますが、日頃の取り組みや意識を変えるだけでも問題解決の道筋を立てる能力は飛躍的に向上します。

当事者意識を持つ
当事者意識とは、自分で問題を解決するという意思です。誰かではなく、自分が解決するという意識を持つだけで、色々な考えや疑問が浮かんでくるはずです。
自分なりの答えを出す
問題に対して、自分なりの答えを出してみることも大切です。その答えは決して正解である必要はありません。間違っていてもいいので自分の主張を持ち、なんでそう思うのか、そう感じたのかを明らかにしましょう。人に話すこともいいトレーニングになります。
よくよく調べる
自分の主張を持つことに加えて、自分の出した答えに疑問を持ちます。そして、その答えが正しいかどうか、徹底的に根拠を調べ尽すことまでをセットでおこないます。調べるとはネットや本などで情報をかき集めることもそうですが、人の話を聞くことなども含めてです。
これら3つを習慣として意識して取り組むだけでも、ロジカルシンキングのスキルは上がります。
ロジカルでないWebディレクターは生き残れない
誰でもやる気さえあればすぐにWebサイトを立ち上げることができてしまう今の時代、Webディレクターに求められる役割は年々、より高度になっています。それに伴い、ロジカルシンキングのスキルは、更に重要視されていくでしょう。この記事で紹介した内容は、基本中の基本で、ほんの一部分でしかありませんので、興味を持たれた方はぜひ、さまざまな書籍やサイトでしっかりと学んでみてください。
